INTRODUCE POTTER
作家・窯元紹介
No.6
鏡山窯 Kyozan-gama鏡山窯
〒847-0022 佐賀県唐津市鏡4614-1
0955-77-2131
https://kyouzan.co.jp/
作風
「一井戸、二楽、三唐津」鏡山窯のものづくりの基本の一つは茶の湯です。多くの方がイメージする唐津焼は桃山から江戸時代初期に発展し完成しました。朝鮮各地からいろいろな技術がもたらされたこと、まさに茶の湯全盛期の茶人の指導と注文があったこと、窯場が広範囲に点在したため採取する原材料の性質にばらつきがあったのに加えて登り窯での仕上がりがひと窯ごとに異なったこと、これらの要因が技法以上に多様で多彩な器を生みました。鏡山窯の技術のベースはそこにあります。ひと窯ごとに違う仕上がりは作品の個性であり、手仕事の魅力だと考えています。
「作り手八分、使い手二分」とは、「唐津焼は使うことで完成する」ことを示す言葉です。一見、姿は地味ですが、お茶を点てたとき、お花を入れたとき、お料理を盛り付けたとき、それらを引き立てるばかりか器そのものも魅力を増す。それが唐津の特長で、鏡山窯が目指す器作りです。その点に於いては、お茶道具も料理店の器も普段使いも変わりません。
ワクワクする・ドキドキする・ホッとするなど、楽しいのも穏やかな気持ちになるのも心の動きです。
「私たちの技術を駆使し、作品を通して使い手の心を動かす」が鏡山窯のコンセプトです。
展望
伝統と現代性は両立します。我々を魅了する美は古典であっても現代に通じます。だからこそ残り、再興されるのです。数百年を経ても褪せることのない茶道具や茶室の美は茶の湯の象徴ですが、茶道そのものは進化を続けています。その時々の茶人が凝らした趣向の積み重ねだと感じます。
桃山の美意識が今も私たちを魅了する一方で、暮らしと価値観は常に変化します。住空間やその材質、ライフスタイルや価値観が移りゆく中で、提案する器使いや造形が変化することは自然な流れで、茶人の工夫に通じると考えています。
私の軸足は唐津の伝統技法です。敢えて唐津焼について伝統を守ろうとか受け継がねばと意識する必要はありません。制作にあたり、ただ古きを追うばかりでは面白みがありません。思い切って現代的な造形にもチャレンジしていくつもりです。
ひとの心を動かし、一つでも多くの私らしい作品を残すことが望みです。
経歴
【井上東也・プロフィール】
昭和17年(1942)生まれ
日本大学法学部卒
在学中より唐津の古窯跡を発掘、陶片を収集し調査。
現・さいたま市大宮の陶芸家・塗師淡斎に出会う。
昭和44年(1969)鏡山窯を開窯、塗師淡斎に師事。
日本橋三越他、国内各地やロサンゼルスで個展。
昭和58年~平成22年(1983~2010)
唐津焼協同組合理事長を務める
平成25年(2013)永眠
【井上公之・プロフィール】
昭和49年(1974)生まれ
多摩美術大学クラフトデザイン金属コース卒
有田窯業大学校陶磁器科卒
平成14年~17年(2002~2005)備前・伊勢﨑淳に師事。
平成18年(2006)鏡山窯で父・井上東也に師事。
平成19年(2007)作家活動を始め、各地で親子展や個展を開催。
平成26年(2014)鏡山窯を継承